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2022.10.12

ポーカーの競技シーンを本気で考える。世界初の挑戦【TIER レーティング】

POKER ROOM 公式Webサイトをご覧の皆さま。 こんにちは、横澤です。

ご存じの方も多いかもしれませんが、私横澤 真人は”世界のヨコサワ”という名前でYouTuberとしても活動しております。その一方で、ROOTS REWARDSにおける”TIER”の設計にディレクターとして携わっています。

この”TIER”は、ギャンブルが禁止されている日本のポーカーシーンにおいて、e-Sportsや将棋、チェスなどのマインドスポーツのように「競技としてのポーカーを日本初の新たなワールドスタンダードとして提供することはできないか?」という想いからプロジェクトがスタートし、今年4月のROOTS REWARDS Season.1からROOTS SHIBUYAにて開催されてきました。

そして今回Season.2を迎えるにあたり、我々が提供したかった【ポーカーの競技シーン】に大きく近づくアップデートを果たしました。
Season.1でのTIER MATCHを振り返りながら、Season.2での新たなTIER MATCHがどのように変わるのか?また、どういった思想からその進化を遂げたのかを説明いたします。

♠ Season.1のTIER MATCHを振り返って

Season.1では、104回のマルチテーブルトーナメント(レギュラーマッチ、ディープスタック)および、90回のシングルマッチが開催され、エントリー総数は7275エントリーに上り、本当にたくさんの方にプレイしていただきました。

まず初めに、これだけ多くの方々にTIER MATCHを楽しんでいただいたこと、ゲームに関するご意見・ご感想をたくさんいただいたことを、心より感謝申し上げます。

実際にシーズンを通してプレイしていただく中で、想定していなかったご不満や改善点などが見つかり不甲斐なさを感じる点も多々ありましたが、その中でもプレイヤーの皆さまの熱狂やドラマを垣間見ることができ、ROOTSでプレイされるプレイヤーの皆さまからの愛を感じるSeason.1となりました。

ここで、Season.1のTIER MATCHのプレイデータを振り返り、本来POKER ROOM社が提供したかった”競技シーンとしてのポーカー”がどこまで実現できていたのかを見ていきましょう。

まず、TIERの分布について当初開催前に我々が想定していた最終分布は、Cランクが63%、Bランクが33%、Aランクが4%という分布でした。実際にはAランクのユーザーが想定より多い「8.4%」という結果に終わり、この予想とのズレは嬉しい誤算でした。

最も大きく予想と違う結果に終わったのは、1プレイヤーあたりの平均来場回数です。

このTIER MATCHを設計したSeason.0当初では考えられないほど、たくさんの方に繰り返しTIER MATCHへ参加していただけたということで、改めてありがたいという気持ちがある一方で、TIERランキング上位プレイヤーの体験に関しては、やや想定外のものになってしまったという反省があります。

Season.1のディレクターノートでお話したように、Season.1のコンセプトは、プレイヤーの皆さまにまずTIERの仕組みを理論的、もしくは感覚的に理解していただくことでした。「理想のTIERを設計するには進化の段階を踏まなくてはいけない」というのが我々の考えで、Season.1時点であえて実装していなかった機能や要素が多々あり、上位プレイヤーの方々には物足りないと感じさせてしまう部分があったかもしれません。

たとえば、Sランクという最もシビアなTIERを設定しなかったことや、対戦時にプレイしている相手のTIERが高いか低いかを戦績に反映しなかったことなど、まずはシンプルなTIERを実装するということを優先してしまい、シーズン終盤でのプレイヤーの進化や変化を予測しきれなかったという後悔があります。

それらの問題点も含めたSeason.1での反省点を振り返っていきます。

♠ TIERは本当に実力を示す指標になっていたのか?

私が最も気にしていたのは、この部分です。
実際にプレイヤーの間で「参加回数を競うだけのゲームではないのか?」というような疑問の声が上がっていたのを耳にしましたし、実際にTIERランキング上位を占めるプレイヤーの参加回数は、全てではありませんが下位のプレイヤーに対して比較的多い傾向にあります。

ここで、参加回数別の平均TP(TIER POINT)のデータを見ていきましょう。

(エントリー数とTPの分布図。戦績非公開のプレイヤーのデータも含まれているため、ユーザーの特定を防ぐ目的で2500TP以下、50回以下のプレイヤーのみを抽出しています)

後述しますが、Season.1ではTIERを上げるという行為に対する進捗感を味わっていただくために、下位TIERでの評価をプラスサムゲームにし、上位TIERにいくにつれて評価をゼロサムに近づけていくというシステムを導入していました。
そのため、参加回数が3回以下のプレイヤーと16回以上のプレイヤーでは平均TPには大きな差がありますが、それ以降の差は小さくなっていくのがわかります。

これはSeason.1においてのTIER MATCHの設計思想が、TIER Aになる900tp以降をランキングを競うための競技ポーカーとして提供し、それまでの工程をレベル上げのように楽しんでいただきたいという気持ちからゲームバランスを調整したことが原因です。
また、Season.2でのTIER Sの登場により、よりシビアに参加回数とTPの相関性を更に乖離させるという狙いがありました。

ランキング上位のプレイヤーの参加回数が多い、という意見に関しては、上記にあげた参加回数が21回以下の全プレイヤーの平均Win-Rateが100%なのに対して、22回以上参加しているプレイヤーは平均Win-Rateが111%を超える好成績を残しており、ただ平均順位を上げるための戦略を取っているというだけでなく、純粋なポーカーの実力が参加回数の少ないプレイヤーよりも高いということがデータで明らかになっています。

つまり、「TIERは実力を示す指標なのか?」という問題に関しては、 「感覚的には納得し難いが、一定のTPを超えると強さの指標になっている」 と言えます。この感覚と実際の数値のズレこそが、Season.1での最も大きな反省点だと私は考えています。

♠ シンプルなシステムが結果的に体験を悪くした

Season.1でのTIER MATCHには、下記3つの問題点があったと考えています。

・「TIERを上げる」という体験をわかりやすくするための進捗感
初心者の方にもTIERを上げる体験を楽しんでもらいたいという思いから、下位TIERへの優遇を大きくしたため参加回数を増やすことでしかTIERが上がらないという感覚を与えてしまった。

・参加TP、獲得TPの数式を、できるだけわかりやすく計算可能なものにした
複数の変数を基にTPが確定するシステムは理解されない可能性があると考え、参加人数から総TPを算出し、順位に応じて分配するという本来のポーカートーナメントになるべく近い形を実装したが、結果として計算ロジックを気にするプレイヤーは少なく、むしろ納得感の少ない計算ロジックを提供してしまった。また、それらのロジックによりシステム自体の自由度を極端に下げてしまった。

・レイトレジストを戦略の1つとして許容した
実際に海外のトーナメントでも起こりうる事象でもあるため、スキルエッジをカバーするための戦略としてレイトレジストでもTPが上昇するような仕組みを導入し、代わりに、レベル1からプレイするプレイヤーを有利にするためにリエントリーTPを安くするなど理論的にはレイトレジストが損な仕組みを実装したが、実際のプレイヤーにはレイトレジストが有利という体感的な印象を与え、参加回数とTPに相関性があるという印象をより強くしてしまった。

このような問題点から得られた反省を基に考案され、これら全ての問題を解決するのがSeason.2から始まる TIER レーティング という全く新しいシステムです。

♠ より競技性を強くした”TIER レーティング”の実装

Season.2から始まるTIER レーティングの基本コンセプトは、

・参加回数に関係なく、相対的に自分の実力を知れるレーティングシステム
・同じ実力のプレイヤーや、自分より上のレベルのプレイヤーと対戦できるマッチングシステム

この2つから成っています。

まず、Season.1では「全員のTIERが上昇していく」という進捗感を提供しましたが、Season.2ではプレイヤーの実際の実力をよりリアルに、直観的に数値化する相対的なレーティングシステムが導入されています。

このレーティングシステムはマインドスポーツで導入されているELOレーティング、e-Sportsにて使用されているGlickoレーティング、多人数対戦ゲーム向けのTrueSkillなどのさまざまなレーティングシステムと同様に、プレイヤーの対戦履歴に応じて相対的な実力を判断する、ポーカー向けに開発された全く新しいレーティングシステムです。

このレーティングシステムにより、プレイヤーはより現実的な実力に応じたTIERに振り分けられます。そのため、TIERを限定したトーナメントを開催することで、自分の実力に近いプレイヤーと対戦するというこれまでになかった競技性を実現することが可能になりました。

これは非常に挑戦的なアプローチで、運さえあれば初心者でも勝つことのできるポーカーというゲームの良い意味でのギャンブル性を打ち消してしまうのではないかという懸念や、TIERを限定したトーナメントを数多く開催することで参加できるプレイヤーの幅を極端に狭くしてしまうという問題点など、アミューズメントポーカーという店舗形態で営業するうえであまりにもデメリットの多いアプローチです。

これらのアプローチは、Season.1で初めてTIERを実装した際にも検討されましたが、あまりにもデメリットが多すぎるという理由で実現が不可能だと判断しました。しかしながら実際にSeason.1でたくさんの方にTIER MATCHをプレイしていただいた結果、これらのより本格的でコアなポーカープレイヤーに向けたシステムこそが【ポーカーの競技シーン】を実現するうえで必要不可欠だと判断し、今回の実装に至りました。

♠”TIER レーティング”の仕組みについて

Season.2から始まるTIERレーティングは、さまざまな対戦ゲームのレーティングシステムを基にPOKER ROOM社が独自に考案したポーカー向けの全く新しいシステムです。

TIERレートの中央値は1500(=TIER BⅡ)で、これより上のレートであれば平均よりも上位のプレイヤー、下のレートであれば下位のプレイヤーだということが一目でわかります。

これらのTIERレートは下記の要因によって決定します。

・トーナメントでの最終順位
・同じトーナメントをプレイした全プレイヤーの順位と、そのTIERレート
・プレイしたハンド数(テーブル人数、プレイ時間、エントリー数などから疑似的に算出)
・トーナメントに参加した時点でのトーナメント進行状況
・トーナメントに参加した回数

つまり、 「より強いプレイヤーがいるフィールドで、より高い順位を、より多くの回数出し続けているプレイヤー」 が強いとされるレーティングシステムとなります。

従来のTIERのようにレイトレジストしたプレイヤーは順位では評価されるものの、自分がエントリーした時点での残りプレイヤー数やトーナメントの経過時間、レジスト時点でのアベレージスタックとの比率などさまざまな要因からレーティングに補正がかかるため、レイトレジストが戦略として極端に有利になったり、TIERを確実に上げる手段になるということはなくなりました。
※より正確に実力を測定するため、レイトレジストした場合でも唯一、有利不利のない1位の順位評価のみ補正をほとんど受けない仕様になっています。

また、たとえば1回目のトーナメントでいきなり優勝したプレイヤーは当然評価されますが、100回のトーナメントで1度も優勝していないものの、好成績を取り続けているプレイヤーはより高く評価されます。

これらのレーティングは内部的には確率分布で評価されており、プレイヤーの実力の最低保証ラインを表すのが表面的なTIERレートの数値になります。つまりプレイ回数を重ねることで、よりプレイヤーの実力は正確な値に収束し、結果的に全く同じ成績を残しているプレイヤー同士であれば、参加回数が多いプレイヤーのレートがより高い数値となって算出されます。

これらのレーティングシステムの設計バランスにより、1度のラッキーで優勝しただけのプレイヤーと、継続的に結果を出し続けているプレイヤーの間に差を作り、TIERランキングの競争をよりシビアなものとして実現しました。

シミュレーションの結果によると、15回参加した時点での分布は下記のようになります。

平均的な実力でTIER Sになるのはかなり難しいことや、上位のプレイヤーがTIER Cになる状況はほとんどないことからわかるように、一部の極端な下振れや上振れを除くとかなり高い確率で実力通りのTIERに振り分けられることがわかります。
また、それらの振り分けが15回という少ない試行回数から得られることも特徴的です。

このTIER レーティングに関しては、開発者による設計に関する思想や、実際に運用されるまでにシミュレーションされた計算結果などを別ページにて解説予定です。より詳しい仕組みについては後日発表されるエンジニアリングノートの公開(※)をお待ちください。

※ 2022年11月29日に公開いたしました。
POKER ROOMが挑戦する競技ポーカー「TIERレーティング」の仕組みと設計思想

♠改めて実現したい”ポーカーの競技シーン”の未来

TIER レーティングは、ROOTS SHIBUYAという単一のポーカールームだけではなく、海外でのトーナメントやデジタルでのポーカーゲーム、国内大会など、さまざまなシーンで応用できる革新的なポーカーのレーティングシステムです。

ギャンブルとしてのポーカーにおいてパンドラの箱とされている「実力を可視化する」というアプローチを唯一実現できるのは、ギャンブルとしてのポーカーが禁止されている日本だからこそできることだと考えています。

TIERレートの数値が、そのプレイヤーの相対的な実力を最も客観的に評価できるレーティングになる未来が近いうちに来るかもしれません。

そして”ポーカーの競技シーン”を考えるうえで最も忘れてはいけないのは、 「その競技シーンの中に、どれだけの熱狂があり、どのような体験を得ることができるのか?」 という点です。

この点においてSeason.1では多くの反省点があり「実力を競い合う」ことに一点突破したゲームを提供していましたが、Season.2では、むしろ実力を競い合うことではなく、実力がわかるからこそ楽しめる体験というアプローチで、プレイ中の体験をより良くすることに挑戦しています。

「ランキング上位を目指す」「目の前のライバルを倒す」「自分だけの目標を作る」など、プレイヤーごとに違った楽しみ方があり、最終的なレーティングやランキングといった結果だけではなく1ハンド1ハンドが楽しく思えるようなポーカーを実現したいと考えています。

まだこの世にない、 競技としてのポーカー というあり方を模索しているROOTSですが、今ここに産み出されているTIERというプロダクトは、私やPOKER ROOM社だけではなく、全てのROOTSプレイヤーが作り出している全く新しい挑戦です。
そして、我々はこのTIERに無限の可能性と未来を感じています。
この”ポーカーの競技シーン”という未来を作り出すために、今一度皆さまの力をお借りできればと思います。

ここまでご覧いただきありがとうございました。
皆さまのTIER MATCHへの挑戦を心よりお待ちしております。

株式会社POKER ROOM
TIER ディレクター
横澤 真人

2022年11月29日に公開いたしました、
POKER ROOMが挑戦する競技ポーカー「TIERレーティング」の仕組みと設計思想
もよろしければご覧ください。